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リンケ・ホフマンR.I
Linke-Hofmann R.I
scratchbuild 1:600
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第4回1:700飛行機コンテスト「ひげ杯」(課題:試作機)用に、確か98年頃に作ったものだが、1:700で作るつもりが、縮小コピーを段階的にかけて縮めた図面の、1段階前のものを使ってしまい、ほぼ完成してからおよそ1:600になっていることに気付いた大迂闊な作品。
作品のウィングスパンは5.5cm強、胴体はプラバン積層削り出し、主翼は0.5mmプラバン、支柱は部分的に真鍮線で強度を持たせ、残りは伸ばしランナー。塗装はタミヤエナメルの筆塗り。以前に作った1:700のツェッペリン・シュターケンR.VIよりローゼンジ・パターンは細かく描いたが、その分、模様が不揃いになってしまった。
実機は第一次大戦のドイツの(当時としては)超重爆(R級)のうちの1つ。なにしろ当時はこれだけでかいものを飛ばすだけでも精一杯の時代だったので、R級はほとんどマッド・エンジニアの所産の巣窟と化したような酔狂な形をしたものが多いが、「泳げたいやきくん」に翼が付いたようなこの機体もその典型と言える。
プロペラは左右に2つだが、実際には4発重爆で、2基ずつで片側のペラを回す。エンジンはすべて胴体内にあり、動力は胴体から横に突き出たシャフトでペラの回転軸に伝達する。ずいぶん凝った仕組みだが、エンジンの信頼性が低かったので、機関士が常に貼り付いている必要があったのだ。
「泳げやいやきくん」風胴体は、前半部が3階建てで、最上部が操縦席、中層がエンジンルーム、下層が爆弾層。
リンケ・ホフマンR.Iは都合2機が試作されたが、作例は試作2号機で、1号機はさらに酔狂なことに、胴体後半部と尾翼が透明なセロン(セルロイド)で覆われている。今で言うところの「ステルス性」を追求したのだが、結果は「空中ではキラキラ光ってむしろ目立つことが判明した」("The
German Giants -- The German R-Planes 1914-1918", G W Hadow & P M Grosz,
PUTNUMによる)というものだった。やる前に気付けよ!
当然ながらこのR.Iは使いものにならず、試作2機のみでお蔵入りになった。試作2号機は、その体型が災いして、着陸時につんのめって逆立ちしている写真が残されているが、どうやらそのまま修理されずにスクラップになったらしい。前出の本には、とあるパイロットの回想の言として、「アレはヒコウキじゃなくてビョウキ」(not
an airclaft but a sickness)という評価が記されている。
リンケ・ホフマンはつくづくトホホなメーカーで、続くR.IIは、「高性能な単座戦闘機をそのまま拡大したデザインを持つ4発重爆」という、途方も無い代物であった(例えば、B29の大きさの零戦を想像してみれば、そのアイデアの異様さが判ると思う)。
主翼だけでなく尾翼も複葉である点を除けば、車輪もプロペラも要するに単純に小型機を拡大しただけ。4つのエンジンを結合して回す巨大な2翅プロペラは直径6.3mあり、これはもしかしたらプロペラのギネスブックものかもしれない。当然ながら、これまたアイデア倒れであった。
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KAWABATA,Hideki(c)2001
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